全日本美容業生活衛生同業組合連合会(𠮷井眞人理事長)は5月10日、東京・代々木の美容会館9階ホールで『第371回理事会』を開催した。
今年1月25日〜4月19日までの報告事項と、第74回通常総会と上程する議案、第372緊急理事会を招集する件について審議し、可決された。
通常総会は5月25日に、第372緊急理事会は翌26日に開かれる。
報告事項は、組合員数、クールルジャパンに関わる外国人材の受入について、休業補償共済制度の団体割引率引き下げ、受動喫煙防止対策などについて、事務局から説明があった。
その中で組合員数については、平成29年4月1日現在の組合員数5万4139人(前年同期比△1643人)となっている。増加は香川県と福岡県の2県。新規加入者数は、開設加入696人(厚労省統計によると新規開設は1万人前後)、非組合員からの加入672人。脱退者数…営業継続2068人、廃業943人。
クールルジャパンに関わる外国人材の受入については、2020年に向けて外国人就労が内閣府のワーキンググループで議題にあがっているが、同連合会は受け入れる必要性がないため断固反対の陳情をしていると説明。現行の在留資格制度では、外国人は、日本の美容専門学校に通って技能を習得し、美容師資格を取得した場合でも、美容師に対応する在留資格が存在せず、就労が認められていない。これに対し、東京都の金内光信理事長は組合員から人手不足を訴えられており、「研修生」「就労時限設定」「特区」として考えてほしいと要望した。𠮷井理事長は「外国人の美容学校卒業生はおそらく毎年200名前後。たとえ就労を認めても不足の解消にはならない。その前に、まずは労働環境の整備を優先すべき」と述べた。
理事会の前に、講演「地域包括ケアシステムの構築と高齢者の暮らしを支える美容サービスの発展可能性」(講師:久留善武氏/シルバーサービス振興会事務局長)が行なわれた。久留講師は人口推移や今後の介護保険について解説し、高齢者が住み慣れた地域で快適に暮らしていけるよう、公的な介護・福祉サービスのほかに、美容業も地域社会のつながりを築く役割として重要視されていると述べた。全美連は “ハートフル美容師制度”を地域包括ケアシステムに合わせるよう見直しを進めており、久留講師は改革メンバー。現在、 “ハートフル美容師制度”のカリキュラムを改定したところで、今後テキスト作成など具体的な作業に入るという。久留講師は「長寿が喜べる国になるよう、積極的に地域の担い手になってほしい」と結んだ。
地域包括ケアシステム:団塊世代が75歳以上となる2025年を目途に、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように、各市町村の地方行政単位で地域別に異なる高齢者ニーズと医療・介護の実情を正確に把握し住民や医療・介護施設などと連携・協議し、地域の多様な主体を活用して高齢者を支援するシステム。