東京美容家集団(TBA/福島吉範会長)は8月1日、東京・代々木の美容会館2階研修室で教養セミナー『女性の髷の時代変革の考察』を開催した。
TBAの青年部であるネオフォース(石川隆行代表)主催によるもので、講師には昨年『第4回きもので銀座』(主催:BA東京・東京認定美容師会)の講演で好評を博した、元歌舞伎俳優(中村蝶之介)の佐藤昇一氏を招聘。今回は豊富な資料映像を基に、“女性の髷”の進化を講演した。
佐藤講師は先だって「歌舞伎を見た気になって、できれば歌舞伎を見に行ってほしい」と話すと、歌舞伎の名場面をまとめた映像を視聴しながら、メイクや衣裳は歌舞伎だからディフォルメされているのではなく、近いものがあったと教えてくれる。
では結髪について。佐藤講師は女形を演じた際、なぜ髪を切らないのかと疑問に思ったそうだ。そこで調べると垂髪が正装であったため、切ってはいけなかったことがわかったという。
それなら日常生活も不便であり、髪を上げることは自然な流れ。ただ急な来客や、外に出かける等、すぐに元に戻さなければならないこともある。「そこでぐるぐると巻くことを考え始めました。それには大きく2通り、棒をさして留める髪型と、結ぶ(編む)髪型があります。そうして時代が進むにつれて、この略式でよいのではないかと髪型も進化していくのです」
たとえば『片はづし』という髪型は、髪をぐるっと巻いて棒をさして留めるというもの。そして“結ぶ”髪型の代表例としては兵庫髷がある。
また結んでいた髪を“たたむ”という発想で大島田が生まれ、さらに“たたまなくてもよいのではないか”と考えだしたのが勝山髷となるそうだ。「兵庫(結ぶ)、島田(たたむ)、勝山(たたまない)の3つの形で、ほとんどの髪型が説明できます」
武士階級の髷が、豪商が流行を作る時代となり、最終的には町の人たちを中心としたものに替わっていく。そうした変遷と道具の発展に伴い、多くのバリエーションが生みだされた日本髪。「髪型とそのキャラクターに少しでも触れられたら」と話すと、最後に踊りを披露して終了となった。なお第ニ弾は、2018年2月13日に開催されることが決定している。