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日本ヘアカラー工業会が特別セミナー、アレルギーを防ぐために皮膚科専門医からアドバイス


 日本ヘアカラー工業会(水野義夫会長)は11月6日、東京・代々木の美容会館で理美容師に向けた『キレイなヘアカラーを楽しみ続けていただくために~ヘアカラーアレルギーを防ぐための大切なセミナー~』を開催した。

 冒頭、岩瀧正之 理美容師啓発専門委員長は、「ヘアカラー市場は1000億円を超え、理美容業界でも日々のご努力でここまで成長するメニューになっている。さらなる発展のため、さまざまなサポートを継続していきたい」とあいさつ。

 続けて今セミナー開催の経緯を説明。それによると平成27年10月、消費者庁・消費者安全調査委員会から“ヘアカラーによる事故報告書”が発表された他、厚生労働省より製造販売業者に対して“ヘアカラーに対する注意喚起すること”、理美容所に対して“ヘアカラーの情報を周知徹底すること”の課長通知が出された。それを受けて同工業会では『理美容師向けヘアカラーリングハンドブック』を作成したが、さらなる啓発活動の一環として今回に至ったという。

 講演は『ヘアカラーによるアレルギーを防ぐために~皮膚科専門医からのアドバイス~』と題し、松永佳世子氏を招聘。藤田保健衛生大学医学部アレルギー疾患対策医療学講座 教授であり、『理美容師向けヘアカラーリングハンドブック』の監修にも携わっている。

 松永講師によると、アレルギーのかぶれは化粧品が一番に多いそうで、中でもパーマ剤のシステアミン塩酸塩、ヘアカラーの主成分のパラフェニレンジアミンは原因の第1位、第2位となっている。

 このパラフェニレンジアミンは、日本人の8%がアレルギーを持っていると考えられているそうで、年齢とともに陽性率は上がり70代がピークとなる。というのも一度アレルギーになれば一生記憶されるからで、白髪染めでヘアカラー頻度が高まったことをきっかけに重篤化し、多彩な症状が現われるようになるから。

 また酸化染毛剤、加硫酸アンモニウムなどによる即時型症状も、稀ではあるが報告されているという。しかし酸化染毛剤に替わる染毛剤は現在、開発されていないため、理美容師はリスクをしっかりと学び、上手に使っていくことが求められていると話す。

 そして理美容師は消費者と異なり、多種類の酸化染毛剤、塩酸システアミンに陽性になっているという。

 原因のひとつは手荒れ。皮膚のバリア機能が低下し、ヘアカラーやパーマの成分等にアレルギーを引き起こす可能性が高くなるからで、保湿ケアや刺激の少ない製品の使用、また手袋の使用を徹底するといった対策が必要だという。

 ただしゴム手袋に加えられている加硫促進剤によるアレルギー性接触皮膚炎が報告されている。そこでラテックスフリー・加硫促進剤フリーの手袋を紹介すると、「ヘアカラーでかぶれる理美容師は、100%手荒れをしているといっても過言ではありません。ですから、まず理美容師自身の手荒れを予防することが重要。そして手荒れが2週間以上続くようなら皮膚科を受診し、しっかり治すことが大切です」と述べた。

 第二部では松永氏に加え、同大学アレルギー疾患対策医療学講座 看護師の久野千枝氏、さらにNPO法人日本ヘアカラー協会から、ヘアカラーリスト検定 ファイブスターヘアカラーリストの江波戸大介氏(imaii)、同・熊倉正和氏(kakimono arms)によるトークセッションが行なわれ、カウンセリングの必要性、その具体的なポイント、そして手荒れを防ぐポイントなどが語られた。

 最後に田尾大介副会長が「お客さまの健康被害をなくす、理美容師が長く安全にプロとして職業を続けられるような業界を作っていく。そのような想いで取り組んでいる。今回をスタートとして、事故を未然に防ぐ活動をともにしていければ」と述べ終了となった。

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